| 要旨トップ | ESJ67 シンポジウム 一覧 | 日本生態学会第67回全国大会 (2020年3月、名古屋) 講演要旨
ESJ67 Abstract


シンポジウム S24  3月6日 9:30-12:30 Room L

昆虫−植物を結ぶシグナルと認識機構
Signal and recognition underlying plant-insect relationships

石川由希(名古屋大学)
Yuki ISHIKAWA(Nagoya Univ.)

 動植物は相互作用の中で生きている。特に関係性の深い種はお互いがお互いの形質に影響を及ぼす。彼らはどのように相手をうまく利用しているのだろうか?またどのように自らの形質を相手に合わせて変化させてきたのだろうか?これらを理解する上で欠かせないのが、相手を認識し、自分を認識させるシグナルとその認識機構である。一般的に植物は色や形、匂いなどで動物にシグナルを送り、動物は視覚や嗅覚、味覚などを用いてこれを認識する。シグナルと認識機構は動植物の相互作用に不可欠であり、密接に関与する種であればあるほど、これらの形質は相手に依存して変化する。動植物はこのような相互作用の中で多様に進化してきたのである。
 昆虫は地球上で最も繁栄した生物群の一つであり、その多様性は植物との相互作用の中で成立している。また昆虫は飼育可能な種が多く、様々な操作実験が可能である。さらにモデル生物を用いて外界のシグナルを認識するための神経機構が細胞レベルで理解されており、また近年のトランスジェニック技術の発展により、様々な昆虫種においてシグナルの認識を実現する神経機構の詳細を理解できる可能性が広がってきた。これまで野外の中で見られてきた面白い昆虫と植物の関係を、これまでにない新しい観点で眺められる時代が間近に迫っている。そこで本シンポジウムでは、特に昆虫と植物に着目して、これらを結ぶシグナルとその認識機構をとりあげる。ハエ、チョウ、ハチなどさまざまな昆虫種とそれを取りまく植物について話題を提供することで、その共通性や多様性を知り、今後の研究の方向性を議論したい。

[S24-1]
アサガオの花に棲むカザリショウジョウバエのテリトリー認識機構 *石川由希, 林優人, 藤井航平, 田中良弥, 上川内あづさ(名古屋大学)
Territory recognition mechanism of flower-living fruit fly *Yuki ISHIKAWA, Yuto HAYASHI, Kohei FUJII, Ryoya TANAKA, Azusa KAMIKOUCHI(Nagoya Univ.)

[S24-2]
アゲハチョウの訪花行動に関わる視覚情報 *木下充代(総合研究大学院大学)
Visual cues for flower foraging in Japanese yellow swallowtail butterfly, Papilio xuthus *Michiyo KINOSHITA(SOKENDAI)

[S24-3]
訪花者群集の組成に応じた、植物群集の花形質組成 *石井博(富山大学), 辻本翔平(東邦大学), 丑丸敦史(神戸大学), 工藤岳(北海道大学)
Association between community assemblage of floral traits and pollinator fauna. *Hiroshi S ISHII(University of Toyama), Shohei G TSUJIMOTO(Toho University), Atsushi USHIMARU(Kobe University), Gaku KUDO(Hokkaido University)

[S24-4]
日本列島を舞台とする植物の種分化メカニズムとしての花の香りの進化 *奥山雄大(国立科学博物館)
Evolution of floral scents underlying plant speciation in Japan archipelago *Yudai OKUYAMA(National Museum of Nat. & Sci.)

[S24-5]
サトイモ科植物とタロイモショウジョウバエの送粉共生:シグナルと認識 *高野(竹中)宏平(長野県環境保全研究所), 米谷衣代(近畿大学), 三宅崇(岐阜大学), 片桐千仭(数理設計研究所), 片山昇(小樽商科大学), 屋富祖昌子(那覇市), 田中良弥(名古屋大学), 石川由希(名古屋大学)
Specialised plant-insect interactions in pollination mutualisms between Araceae plants and Colocasiomyia flies: Signal and recognition *Kohei Takenaka TAKANO(Nagano Environ Cons Res Inst), Yoneya KINUYO(Kindai Univ.), Takashi MIYAKE(Gifu Univ.), Chihiro KATAGIRI(Mathematical Assist Design Lab), Noboru KATAYAMA(Otaru Univ. Commerce), Masako YAFUSO(Naha City・Okinawa), Ryoya TANAKA(Nagoya University), Yuki ISHIKAWA(Nagoya University)


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