公募シンポジウム 3/30 (S13-S17)

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S13 生態発生学の勃興

3/30(水) A会場 14:00 -- 17:00
企画責任者:三浦徹(北大・地球環境)・工藤洋(神戸大・理)
全ての生物は,周囲の環境と何らかの相互作用をしながら生活を営んでおり,環境の変化に応じ形質を多かれ少なかれ変化させることができる.この「表現型可塑性」は環境によって可塑的に発生プロセスを変化させる仕組みであるが,これまでの発生学は,環境によるゆらぎはむしろ「ノイズ」として受け止められがちであった.1990年代後半から,生物の発生の仕組みがどのように進化してきたかを探る進化発生学が大きな発展を遂げたが,最近では,これまでのEvo -Devoの要素にEcoを取り込んだ,Eco-Devoつまり「生態発生学」が注目され始めてきている.そして,生態学的に興味深い現象に対し,分子・発生・ゲノムなど新しい情報と手法を取り入れて解析し考察する研究が少なからず出てきている.本シンポジウムでは,「生態Eco」「発生Devo」「進化 Evo」の視点で,興味深い生物現象を対象に研究を行っている研究者に話題を提供してもらい,今後の日本での生態発生学研究発展の足がかりとしたい.

S14 食物網理論と実証研究のダイアログ:なにがわかっているのか、そして どこにすすむべきか?

3/30(水) B会場 14:00 -- 17:00
企画責任者:Axel G. Rossberg (横浜国立大学)・吉田勝彦 (国立環境研究所)・近藤倫生 (龍谷大学)
食物網に関する実証的な研究では、技術的・経済的な限界のため、群集の部分構造や安定同位体などから得られるマクロ的な指標に着目する傾向がある。それに対して理論的研究では、食物網のより詳細なトポロジーや個体群動態、それらの間の相互作用に注目してきた。この両研究のアプローチの間のギャップは、 両者の密接な連携の障害となっている。そこで本集会では食物網の理論・実証的研究をすすめる講演者を招き、最新の知見を集積するとともに、このギャップ を埋め関係を強化するための方策を議論したい。

S15 性的対立

3/30(水) C会場 14:00 -- 17:00
企画責任者:宮竹貴久(岡山大)・粕谷英一(九大院)・安井行雄(香川大)
性による繁殖は,対立の危険に満ちあふれている.雌と雄の利害は様々な場面で一致しない.交尾や繁殖をめぐる雌と雄の関係は,近年「Sexual Conflict: 性的対立」というキーワードのもと急速に新たな研究が展開している.代表的モデルのchase away,配偶システムにおける性的対立など新しい研究が進行中である.また性的対立は、多回交尾がメスにとって不利なものかもしれないという視点を与え、メスの複数回交尾についても新たな研究の方向性を示している。本公募シンポジウムでは,理論・魚・鳥・虫からそれぞれ最先端の研究事例に関する話題を提供し,性的対立と交尾行動について考える.

S16 多摩川の河道修復と礫河原造成

3/30(水) D会場 14:00 -- 17:00
企画責任者:星野義延(東京農工大院)
 日本の河川では、河道の複断面化が進行し、ハリエンジュなどの樹木が繁茂して樹林化が進行し、河川本来の生態系が変質してきていることが指摘されている。 河川生態学術研究会多摩川グループでは1996年より多摩川中流部の永田地区において河川の生態に関する総合的な調査研究を行い、河道の複断面化が進行し、本来の礫床河川の生態系が変質していることがわかってきた。2002年には、こうした研究成果に基づき扇状地河川の生態系復元を目標とした河道修復と礫河原の造成が行われ、その効果に関するモニタリングを実施してきた。河川学術生態研究会の研究目的のひとつに、河川に再自然化工法などのインパクトを与え、その効果の影響を明らかにし、評価の手法を確立し、河川の自然復元の手法を探ることが挙げられている。このシンポジウムでは復元事業実施後のモニタリング結果を報告するとともに、河川における自然再生のあり方について議論する。

S17 釧路湿原達古武沼の環境劣化の診断と再生シナリオ

3/30(水) E会場 14:00 -- 17:00
企画責任者:高村典子(国立環境研)・若菜勇(阿寒湖エコミュージアムセンター)
釧路湿原東部に位置するシラルトロ沼、塘路湖、達古武沼は、近年、水生植物ならびに底生動物の種数や現存量が大幅に減少する傾向にあることが報告されている。また、アオコの発生など水質悪化も顕在化している。我々は、環境省の釧路湿原自然再生事業の一環として、2003年7月から約2年間、まず達古武沼とその流域を対象に、環境劣化の現状把握と原因究明を行った。達古武沼では沈水植物群落が大幅に後退しアオコが大発生するようになった。今、まさに生態系のレジームシフトが起きている。そのため、生態系回復のために早急な措置が必要とされている。現在、浮葉植物としてはヒシが圧倒的に多く、沼の西南にネムロコウホネがまばらにある。沈水植物群落は沼南の達古武川の流入部付近を中心に東西の帯状に残っているのみである。現在、達古武沼のプランクトン、底生動物、魚類の分布は、この沈水植物群落の分布に大きく依存している。そのため、今後沈水植物群落が消失すれば、それに伴い多くの動物群集が大きな影響を受けると考えられる。沼の水質は、達古武川の流入の他に、沼南の湿地の影響も大きく受けている。生態系の劣化を引き起こした原因は、近年の沼への土砂搬入量や河川からの栄養塩負荷量の増加が考えられる。過去に湿地へ排出蓄積された畜産排水が降雨時に流出している可能性もある。また、外来ザリガニ(Pacifastacus leniusculus)が沼周辺部にたくさん分布しており、その撹乱も大きいと考えられる。本シンポジウムでは、2年間の調査結果を発表し、それをもとに、今後どのような自然再生を行うべきか、達古武沼の現状診断と再生へのシナリオについて議論する。
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