| 要旨トップ | ESJ63 企画集会 一覧 | 日本生態学会第63回全国大会 (2016年3月、仙台) 講演要旨
ESJ63 Abstract


企画集会 T01 -- 3月21日 10:00-12:00 RoomA

階層的なプロセスをモデル化する:階層モデルによる生態データ解析

企画者: 深谷肇一(統数研), 飯島勇人(山梨県森林研), 伊東宏樹(森林総研), 正木隆(森林総研)

本集会は、生態学で「階層モデル」と呼ばれている統計モデルを主題としたものである。私たちが研究対象とするシステムにはプロセスの階層性があり、観測されるデータは階層的なデータ生成プロセスの産物である。データの背景にあるプロセスの階層性を本質的なものと捉え、これを明示的にモデル化した統計モデルが階層モデルである。階層モデルでは、関心があるが直接的には観測できない量は潜在的な状態変数として扱われ、状態変数の変動を決定する生態プロセスと状態変数に依存した観測のプロセスが区別される。こうした階層性の概念に基づくモデル化は非常に強力な解析アプローチであり、状態変数や生態プロセスに関する偏りの少ない推定や、モデルに基づく仮説検証、異なるデータを統合した推測を実現できるだけでなく、調査計画を検討する上でも大きな意味を持つ。階層モデルの概念は主に個体群研究で発達してきたものであるが、そのアイデアは生態学の幅広い分野で有用であると考えられる。

本集会ではまず、階層モデルの概念と生態学研究における利点を整理し、階層モデルの体系を概観する。続いて、階層モデルの適用例として、昆虫や樹木を対象とした個体群生態学研究、鳥類を対象とした行動生態学研究を紹介する。プロセスの階層性を考慮した階層モデルの実用性の高さと、その生態学における適用可能性の広さについて議論したい。

コメンテーター:宮下直(東大)

[T01-1] 生態学における階層モデル:その概念と利点  *深谷肇一(統数研), 飯島勇人(山梨県森林研), 伊東宏樹(森林総研), 正木隆(森林総研)

[T01-2] 発見率を考慮したヒメボタルの発生消長動態解析  *飯島勇人(山梨県森林研), 梯公平(自然教育研究セ)

[T01-3] 発見率を考慮した、ナラ枯れ・シカ増加後の下層植生の変化の解析  伊東宏樹(森林総研)

[T01-4] ヒヨコの餌場選択行動の解析ー学習パラメータの環境依存的調節  川森愛(統数研), 中村光宏(総研大)


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