| 要旨トップ | ESJ65 シンポジウム 一覧 | 日本生態学会第65回全国大会 (2018年3月、札幌) 講演要旨
ESJ65 Abstract


シンポジウム S09  3月16日 9:00-12:00 D会場

Ecological Epidemiology(えこえぴ)の展開:データドリブンモデリング

岩見真吾(九大・理),立木佑弥(シェフィールド大・動植物)

これまでの感染症研究はヒトが興味の中心であり、ウイルスや病原菌、寄生虫はその中心ではなかった。一方、分子生物学の隆興とともに、ウイルスや病原菌を理解する研究が躍進したが、そこに「生態」という言葉はなかった。しかしながら、ウイルス学では急速な進化が問題視され、進化学や生物情報学の手法を用いて詳しく研究されるようになってきた。また、昆虫媒介性の感染症については、媒介生物自体の生態学研究も行われ、その手法はフィールド生態学のそれと類似している。今、まさに、生態学や進化学と感染症疫学の境界があいまいになりつつある。現在、世界的には、野生生物の感染症や寄生虫研究が生態学の対象として捉えられているが、日本の生態学ではその限りではない。本シンポジウムではこの様な国内外の現状を受けて、特に、[病原ウイルス(菌)や寄生虫] - [媒介生物や中間宿主] - [宿主やヒト]というように、複数の種の間でおこる相互作用のもとで展開される研究に注目する。生態学の世界では進化と群集、そして生態系を繋いでいく階層間アプローチの研究が進められているにも関わらず、感染症疫学の研究ではこれらの視点が欠けているからである。私達は、この様な研究領域を"Ecological Epidemiology"、略して「えこえぴ」と呼び、積極的に展開してく(http://ecoepi.jp/)。

[S09-1] 感染症と生態系機能:生物多様性および食物網を考慮にいれたプランクトン感染症動態 鏡味麻衣子(東邦大学・理学部)

[S09-2] Cell-to-cell感染は多剤耐性ウイルスの出現を促進するか? 佐々木顕(総合研究大学院大学・先導科学研究科)

[S09-3] ヒト集団の免疫により変化する適応度地形のもとでのウイルス進化動態 立木佑弥(シェフィールド大学・動植物科学科)

[S09-4] 都市化と人為的な遺伝子流動: デング熱媒介蚊の集団分化予測 山口諒(首都大学東京・理工学研究科)

[S09-5] 二部グラフ型ホスト-パラサイトモデルからホスト間相互作用のあるえこえぴモデルへ 時田恵一郎(名古屋大学・大学院情報学研究科)

[S09-6] Virtual ECOSYSTEMを用いた群集動態の理解 岩見真吾(九州大学大学院理学研究院・生物科学部門)


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