| 要旨トップ | ESJ70 自由集会 一覧 | 日本生態学会第70回全国大会 (2023年3月、仙台) 講演要旨
ESJ70 Abstract


自由集会 W10  3月19日 18:30-20:00 Room C

里山の湧水湿地を利用する種の保全とその課題
Conservation and issue of species that inhabiting at spring-fed wetlands in Satoyama

平野佑奈(東邦大学)
Yuna HIRANO(Toho Univ.)

 山地の麓や台地の辺縁に成立する一次谷(谷津や迫と呼ばれる)の多くは、豊富な湧水を利用して農林業が行われてきた里山環境である。恒常的に供給される湧水が作る湿地(湧水湿地)は、水生動物だけでなく、エコトーンとして水域と樹林の両方を必要とする種の生息場も提供する。また湧水湿地は季節を通して水温や水質が安定しているという特徴を持ち、この安定した環境を選好する固有性の高い群集が成立する。個々の湿地面積は小規模であるものの、里山の生物多様性を維持する上で重要なハビタットである。一方、里山の管理停止や開発といった人間活動の影響を受けやすい場所であるため、保全が急がれる。
 本集会では、サンショウウオ類やホトケドジョウといった里山の湧水湿地を利用する種に関する研究について話題提供し、ハビタットとしての湧水の重要性や湧水湿地を利用する種の保全における課題を明らかにしたい。また本集会によって、より多くの生態学者に湧水の面白さ、価値を共有できたらと思う。

[W10-1]
空間階層概念に基づくセトウチサンショウウオの産卵場の環境要因抽出 *平野詩織(株エイト日本技術開発, 徳島大学), 鎌田磨人(徳島大学)
Extraction of environmental factors of spawning sites of Hynobius setouchi based on the concept of spatial hierarchy *shiori HIRANO(EJEC, Tokushima Univ.), Mahito KAMADA(Tokushima Univ.)

[W10-2]
耕作放棄が進む里山環境に依存するトウキョウサンショウウオとその保全への課題 *国武陽子(城西国際大・経営情報), 原地司(米沢の森を考える会), 石坂健彦(ネクスコ東日本エンジ), 森崎耕一(ネクスコ東日本エンジ), 大磯毅晃(道総研さけます内水試)
Tokyo salamanders dependent on abandoned satoyama fields and challenges to their conservation *Yoko Kawate KUNITAKE(Josai International Univ.), Tsukasa HARACHI(Yonezawa Forest Conservation), Takehiko ISHIZAKA(Nexco-East Engineering), Koichi MORISAKI(Nexco-East Engineering), Takeaki OISO(Hokkaido Research Organization)

[W10-3]
球磨川流域における迫田と湿田:生物相の現状と保全 *一柳英隆(熊本県立大学)
Wetland fields in valleys within the Kuma River basin: current status and conservation of biota *Hidetaka ICHIYANAGI(Pref. Univ. of Kumamoto)

[W10-4]
移動能力の異なる湧水選好動物3種の遺伝構造:流域スケールでの保全計画に向けて *平野佑奈(東邦大学), 伊藤洋(国立環境研究所), 今藤夏子(国立環境研究所), 西廣淳(国立環境研究所)
Genetic structure of three species with different migratory abilities: for conservation planning at the watershed-scale. *Yuna HIRANO(Toho Univ.), Hiroshi ITO(NIES), Natsuko KONDO(NIES), Jun NISHIHIRO(NIES)


日本生態学会