日本生態学会

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生態学会概要 | 活動方針(アジェンダ) | ダイバーシティ推進宣言

生態学会概要

 一般社団法人日本生態学会は,生態学およびその関連分野に関わる研究を推進するため,研究者を始め関連する職業や学生の方々を会員として,1953年に設立されました。現在、約3900人の会員が入会されており,研究活動だけでなく,生態学に関連した社会的アウトリーチにも力をいれてきました。

 日本生態学会は,これまで自然保護委員会を中心として数々の自然保護に関わる提言や要望書を提出してきましたし,生態系管理委員会でも自然再生に対する提言を行ってきました。最近の生物多様性や気候変動の問題は,そうした学会と社会への関わりの幅をこれまで以上に広げている,ということは間違いありません。約3900人の専門家集団としての生態学会は,それだけ社会に対する影響力も大きく,社会に対する科学的な貢献と責任を果たしてゆくことが重要と考えています。

活動方針(アジェンダ)

 日本生態学会は、生態学とその関連分野を研究する者のコミュニティーとして、研究成果の発信、会員の交流を通じて生態学を深化・発展させること、またその成果を社会に還元することを目的として活動を行ってきた。ここで、近年の社会情勢の変化に対応するために強化する活動の指針として、以下のアジェンダを採択する。

ダイバーシティとインクルージョン:生態学に関わる様々な人々の多様性を互いに認め、あらゆる属性にとらわれること無く学会活動に参加できるよう、包摂的かつ公平性が保たれた環境構築に取り組む。

次世代の育成:生態学的研究に携わる学生や若手研究者の育成、研究環境の改善、キャリア形成支援に積極的に取り組む。

国際化:学術大会および国際学術雑誌の刊行を通して一層の国際情報発信を推進する。関係学会および国際機関との交流も促進する。特に、アジアの生態学研究者どうしが交流する場としての機能を高める。

オープンサイエンスの推進:より開かれた生態学を目指し、多くの人々が論文やデータにアクセスでき、協力しながら社会から信頼される研究成果の発信に努める。

社会貢献:生態学の知識の普及に積極的に取り組むとともに、現代社会が抱える諸課題に対し生態学的見地からの提言を主体的に行う。生態学研究者と諸問題の解決に取り組む実務者との協働を促す。

他分野との横断的交流:他分野・領域との交流を積極的に行うことで、生態学をさらに深化させるとともに裾野を拡げ、知の総合において生態学が果たすべき役割の重要性について理解を促す。

※2024年3月18日総会にて決議

日本生態学会 ダイバーシティ推進宣言

生態学を含め科学の発展は、多様な人々による多様な観点を反映させつつ推進しなければならない。日本生態学会は、生態学分野におけるダイバーシティの重要性を認識し、以下の原則に基づき、包摂的で公平な社会の構築に努める。

  1. 多様性の尊重:性別、性自認、性的指向、能力、年齢、疾病・障がい、宗教、人種、民族、文化、国籍、出身地、経済的背景、経歴、学術的視点などの多様性を尊重する。差別やハラスメントに対しては断固として立ち向かい、適切な対応を行う。
  2. 公平な機会の提供:学術および職業における機会には、少数派が置かれた不利な状況があることを認識する。障壁を取り除く取り組みを推進し、ジェンダーギャップ等の不均衡を是正する。
  3. 包摂的な参加:誰もが参加しやすい環境の整備を進め、合理的な配慮を行う。研究組織や大会での集会等の企画と実施においては、多様な背景をもつ研究者の参画を奨励する。
  4. 理解の促進:個人あるいは組織における意思決定の際の無意識のバイアスや、多様性・公平性・包摂性の重要性に関する理解を促進する。研究会、セミナー、ワークショップなどを通じて情報共有と普及啓発を行う。

以上のように、日本生態学会は多様性・公平性・包摂性を重要な価値と位置づけ、その実現に向けて積極的に取り組むことを宣言する。

2024年3月18日 一般社団法人 日本生態学会