日本生態学会

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会長からのメッセージ -その12-

「ナイスステップな研究者」

 うれしいニュースが学会事務局に届きました.会員の佐竹暁子さん(北海道大学地球環境科学研究院)が「ナイスステップな研究者」(科学技術・学術政策研究所)に選ばれました.科学技術・学術政策研究所は,文部科学省直轄の国立試験研究機関で,科学技術へ顕著な貢献をした研究者を「ナイスステップな研究者」として選んでいます.他分野の俊英に伍して,生態学の研究者が選ばれたことは,日本の科学行政の中で生態学の存在感を高めることにつながると思います.会員の皆さんと一緒に「受賞」を喜びたいと思います.

 生態学会はこれまで,他団体が設けている賞への推薦に積極的ではありませんでした.はっきりした理由はわかりませんが,自由を重んじる生態学の伝統が権威的な活動に距離をとらせていたからかもしれません.

 生態学会の権威や権力への距離の取り方は,学術団体としての健全性や自然保護活動に良い効果を発揮してきたと思います.しかし,このような伝統を守ることと学術関連の賞との関係を見直すことは矛盾することではありません.

 宮地賞を設置するとき(日本生態学会の初めての賞設置),いくつかの懸念がありました.受賞者の選考に影響を与える学会のボスのような存在が生まれるのではないか.そのような人たちが学会の権威として支配的に振る舞うようになるのではないか,というものです.結果は,皆さんがよくご存じのように,杞憂でした.選考が公平,公正に行われてきたことは,受賞者の方々の活躍を見れば明らかですし,自由を愛する学会の気風は全く揺らいでいません.

 学会に賞を設置したからと言って,生態学会の健全性が損なわれることは一切ありませんでした.生態学を発展させようという我々の志はかなり堅固なものだと自信をもってよいと思います.それならば,他の学会の賞についてももう少し積極的に関わって良いのではないでしょうか.

 学会の会員が様々な団体の賞に輝けば,他分野の研究者にも生態学の科学としての重要性を知ってもらえます.日本の学術界における生態学の存在感も高まっていくでしょう.そこで,理事会では,

  1. 学会の会員が,他の団体に生態学研究の成果が評価され,賞を受賞した場合は,その活躍をホームページなどで紹介する,
  2. 学会の会員を他の団体への賞に積極的に推薦する,

ことにしました.ご希望がある場合は事務局までご連絡ください.

2015年1月28日 会長 齊藤 隆

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