日本生態学会

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会長からのメッセージ -その18-

「EAFES-2016」

 EAFES (East Asian Federation of Ecological Societies) の第7回大会が2016年4月19日-22日に韓国大邱広域市で開かれます.現在,参加受付中ですので,ぜひ参加を検討してください.前回大会は2014年に中国海南島海口市で開かれ,日本,中国,韓国,台湾,インドネシア,シンガポール,インドなどから260名の参加者がありました.国際大会としては小こじんまりとしており,新しい友人を作るには良いサイズです.

 今回の大会は,"One Asia Tied with Ecosystems: Living harmoniously with local people and nature" というメインテーマのもと,以下の3名の方がプレナリー講演者として招待されます:

Prof. Jianguo Wu Arizona State University, USA
Prof. Robert E. Ricklefs University of Missouri–St. Louis, USA
Prof. Young D. Choi Purdue University Calumet, USA.

 二番目の方は著名な生態学の教科書や7版まで版を重ねている ”Ecology: The Economy of Nature” の著者であるあの Ricklefs です.彼の講演タイトルはまだ公表されていませんが群集生態学について洞察深い話を聴くことができるでしょう.

 EAFESは大会の規模といい,運営委員会の風通しの良さといい「使い勝手のよい」組織です.大きな大会ではなかなか個別の要望は聞いてもらえませんが,この規模だと個別対応してもらえます.私は,”Recent advances of rodent ecology in Asia” というシンポジウム企画に韓国から講演者を招こうと思いましたが,適当な方を探すことに苦労していました.そこで,運営委員会に韓国のネズミの研究者について問い合わせると,すぐによい相談相手を紹介してくれました.こうして無事にシンポ提案を済ませ,今,審査結果を待っています.

「シンポ提案は,大会のメインテーマに焦点をあてたものが歓迎される」とシンポ公募の文書にありますが,あまり厳密に考えなくて良いと思います.シンポ提案の締め切りが3月11日まで延びたので,いまからでも間に合います.ぜひ,シンポを企画してみてください.

国際会議でのシンポ・オーガナイズはハードルが高いものです.シンポテーマの設定,講演者の構成など大会の意図に沿う提案を用意するにはかなりの努力が必要でしょう.この点について,率直に言って,「EAFES は緩い」と思います.経験を積むには大変よい機会です.

また,英語についても,「EAFES は緩い」ことは間違いありません.機関銃のように英語(米語)でたたみかけてくるような人はいません.参加者のほぼすべてにとって英語は外国語なので,へたなのは当たり前です.こういう機会を活かして,英語でのコミュニケーションに慣れていけば欧米で開催される大会に備えることができるでしょう. EAFESは使えます.ぜひ,利用してください.

大邱大会は普通の国際会議と同様にプレナリー講演,シンポジウム,一般講演(口頭,ポスター)で構成されます.前回の大会では,ポスター賞もありました.受賞した11題うち日本生態学会の会員は3名でした.

アジアを地盤にコミュニティを拡大し,日本の生態学の存在感を世界のコミュニティで高めていくには,EAFESはよい足場になると思います.我々の研究が国際的に正当に評価されるための第一歩として,EAFESに参加しましょう.

 2016年2月19日 会長 齊藤 隆

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