| 要旨トップ | ESJ67 自由集会 一覧 | 日本生態学会第67回全国大会 (2020年3月、名古屋) 講演要旨
ESJ67 Abstract


自由集会 W23  3月7日 18:45-20:15 Room I

グリーンインフラのアフターケア:緑豊かなまちづくりでの生物との共存の仕方を考える
Aftercare of green infrastructure: how can we live together with troublesome wildlife in our natural life-support system?

益子美由希(国土交通省国土技術政策総合研究所)
Miyuki MASHIKO(NILIM)

 グリーンインフラは、自然の機能や仕組みを活用して社会資本整備や土地利用を行うという考え方で、国土形成計画(平成27年8月閣議決定)に位置づけられ、グリーンインフラ推進戦略(令和元年7月、国土交通省)が公表されるなど急速に浸透しつつある。人口減少による土地需要の変化や地域経済の停滞、気候変動による災害リスクの増加等、幅広い社会問題への対応策として期待されており、生態系ネットワークの形成を通じた生物の生息・生育環境等の保全・創出もその活用の場面のひとつとして盛り込まれている。
 その一方、グリーンインフラの取組推進によって生物との軋轢が増加しうる懸念については、十分整理されていないように見受けられる。例えば、まちなかでの緑の創出は、ムクドリの大群による迷惑被害を招くかもしれない。分断化された自然をつなぐことにより、中山間地域からイノシシ等が進出しやすくなり、農業・生活被害が増加するかもしれない。こうした個々の現場レベルの軋轢問題に適切に対処するには、その生物の生態や、地域の人との関わりをよく知り、生物と人との間の適度な距離感を見出していく、地道で繊細な取組が必要となる。
 本集会では、特に在来生物との厄介な軋轢に向き合うことを通して、グリーンインフラの負の要因を改善するアフターケアについて考える。鳥類と哺乳類における個別の現場での話題を提供しながら、その現場の位置の違い(都市域から郊外、中山間地域)、関連する環境の違い(都市、農地、道路、河川・湖沼等)、対象種の行動の違い(上空からの場所選択、地上を動いての移動)等を踏まえて、人口減少・少子高齢化による都市のコンパクト化や地方の農地や森林の荒廃といった社会問題とも関連させたより広い観点で、人と生物の適切な共存・すみ分けの道筋づくりに向けた課題を議論したい。
 【コメンテーター】園田陽一(道路生態研究会)、上野裕介(石川県立大)

[W23-1]
カワウと人との軋轢と共存の歴史、そして現在の対応 *亀田佳代子(琵琶湖博), 加藤ななえ(バードリサーチ), 藤井弘章(近畿大), 牧野厚史(熊本大), 前迫ゆり(大産大)
History of conflicts and coexistence with the Great Cormorants and people, and current measures *Kayoko O KAMEDA(LBM), Nanae KATO(Bird Research), Hiroaki FUJII(Kindai Univ.), Atsushi MAKINO(Kumamoto Univ.), Yuri MAESAKO(Osaka Sangyo Univ.)

[W23-2]
Petulu heron villageから学ぶサギ類コロニーとの付き合い方 *益子美由希(国総研), 徳永幸彦(筑波大)
Petulu heron village teaches us how to deal with heronry problems *Miyuki MASHIKO(NILIM), Yukihiko TOQUENAGA(Univ. of Tsukuba)

[W23-3]
ヒトとケモノの軋轢はどんな場所で生じるか?:イノシシとツキノワグマの事例から *斎藤昌幸(山形大)
Where do human-wildlife conflicts occur?: case studies in wild boars and Asiatic black bears *Masayuki U SAITO(Yamagata Univ.)


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