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第20回 生態学琵琶湖賞の実施について

占部城太郎(琵琶湖賞運営委員長)

 生態学琵琶湖賞は、水環境に関連する生態学およびその周辺分野における50歳未満の優れた研究者に贈られる賞で、今回が第20回になります。これまでと同様に、日本生態学会が滋賀県と共同で表彰いたします。

 生態学琵琶湖賞は1991年に創設され、これまで36名の国内外の研究者が受賞してきました。受賞者は受賞対象となった業績や活動に留まることなく、受賞後はいっそう活躍され、水環境に関する生態学や関連分野において指導的役割を担っています。この実績が示すように、生態学琵琶湖賞は水環境に関わる科学の地平を広げ、社会に貢献する優れた研究者を後押しする学術賞と位置づけることが出来ます。

 前回第19回は、香港大学のKenneth M. Y. Leung博士と、北海道区水産研究所の森田 健太郎博士が受賞しました。Leung博士は東南アジア域の環境特性を考慮した環境毒性学を牽引するとともに、海洋の生物多様性保全に必要なモニタリングの推進など、東南アジアにおける海洋生物の環境保全に指導的役割を果たして来たことが評価されました。森田博士はサケ科魚類を対象に、野外調査や実験・数理モデルなど多彩や手法を駆使した個体群・集団遺伝・生活史特性に関する研究を推進し、そのインパクトは、水産資源という視点のみならず、海洋と河川の連続性という研究の広がりや環境保全のあり方に大きな影響を与えたことが評価されました。

 今回の第20回においても、広く水にかかわる環境問題に取り組んでおられる50歳までの気鋭の研究者を対象として琵琶湖賞の応募者を募集します。審査は水圏科学の専門家だけでなく生物学や環境科学の分野で活躍されてきた選考委員により行われるため、特定の分野に評価が偏ることはありません。日本生態学会が主体となって募集選考する賞ですが、学会員でなくても、応募、受賞可能です。受賞者には、来年7月の琵琶湖の日の前後に行う受賞式に出席いただくとともに、受賞記念講演を行っていただきます。さらに、日本生態学会が刊行する学術雑誌に総説もしくは報文を執筆していただくこともお願いしています。本賞は広く水環境にかかわる分野での優れた研究や活動を顕彰するものですが、その学術成果を分り易く紹介していただくことで、水環境にかかわる科学の裾野の拡大にも貢献していただくことを期待しています。

 ご自身の業績に自信をもって、躊躇なく、生態学琵琶湖賞に応募していただきたいと願っています。

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