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第18回 生態学琵琶湖賞の実施について

菊澤喜八郎(琵琶湖賞運営委員長)

 生態学琵琶湖賞は、水環境に関連する生態学およびその周辺分野における50歳未満の優れた研究者に贈られる賞で、今回が第18回になります。第14回までを滋賀県が、第15回からは日本生態学会が受け継いで行っています。

 滋賀県が、14回にわたって続けられてきた、国際的にも知名度の高いこの賞の継続実施を断念されたのはおもに財政的理由によります。日本生態学会はそれを受け継いで、賞金なしで続けてきました。賞金ゼロでは、応募者にこれといったメリットがなく、応募者の数も先細りになるのではないかと心配しましたが、過去3回の応募者、受賞者の動向は、それが杞憂であったことを示しつつあります。実に立派な応募者があり、輝かしい業績を挙げた受賞者が受賞講演でその研究成果と受賞の喜びを述べていただいているからです。

 前回の受賞者は大手信人さんと中野伸一さんでした。大手さんは森林の物質循環を生物過程と水文過程を結び付けて研究し、安定同位体など新しい手法を駆使して、集水域の物質循環を明らかにしたユニークな業績が評価されました。中野さんは近年明らかになってきた、水域における微生物ループについて、その重要性を丹念な観察と実験によって実証した数多くの業績が評価されました。

 第18回もまた、いつものとおり、広く水にかかわる環境問題に取り組んでおられる50歳までの気鋭の研究者を対象として琵琶湖賞の応募者を募集します。日本生態学会が主体となって実施する賞ですが、学会員でなくても、応募、受賞可能です。受賞者には、来年7月上旬に滋賀県において、滋賀県民を中心とする一般の方々や、県の関連職員に向けた受賞記念講演を行っていただきます。さらに義務ではありませんが、日本生態学会の刊行物に記念論文を執筆していただくことも望まれています。賞金も出さずに義務だけを負わせるのかと思われるかもしれませんが、一般の方々を対象に解りやすく自分の研究を話し、それを文章としても発表する。これらこそが研究者にとっては最大の報酬であり、最高の喜びであると信じます。

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