日本生態学会

Home > 学会について > 学会各賞宮地賞歴代受賞者

第1回(1997年)日本生態学会宮地賞受賞者

受賞者:工藤 岳(北海道大学地球環境研究科・助手)


選考経緯および選考理由

 1996年12月7日,第1回の選考委員会を開き,委員長を決めた後,審議に入った.
 当初,3件の推薦があった旨,事務局から報告されたが,うち1件については推薦書類が著しく不備であったため選考委員会で議論し,今回は選考対象からはずすことに決定し,残り2名の被推薦者を選考対象とすることにした.
 賞の趣旨その他について,一般的な議論と被推薦者の業績その他について一部議論をした後,読むべき論文別刷り収集に時間を要するため,これからの作業の段取りを決めて散会した.なお,今回は選考対象者が2名であるため,とくに被推薦者ごとに担当委員を置くこととせず,全員で選考にあたることにし,それぞれの判断と意見に基づいて結果を報告し,それを集約して結論とすることになった.
 各委員の意見と集計結果を委員会としての結論(案)として各委員に提示し,受賞者の最終決定をした.

 工藤岳氏は,北海道大学大学院地球環境学研究科に在職し,北海道大雪山の高山帯で雪渓の雪解け傾度をモデル系として注目して精力的に研究を推進し,高山植物の葉の季節性の解析や繁殖生態に新しい知見を加えてきた.さらに,北海道の垂直分布からシベリアに至る緯度分布と寒冷域への適応に注目した研究を展開している.豊富な経験に裏打ちされた精力的なフィールドワークの濃度は論文発表への取り組みにも反映されており,この分野の若手研究者として,国際的にも一級の論文生産速度を維持し,現象の記載に止まらず,一般理論へ発展させようとしている.日本の自然を活かしたフィールド系の着実な調査研究を奨励する意味を含めて,受賞候補者とした適任である.

第1回日本生態学会宮地賞受賞候補者選考委員会委員長  西平 守孝
1997年3月28日

トップへ