日本生態学会

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第3回(2026年) 日本生態学会自然史研究振興賞受賞者

大塚 泰介(滋賀県立琵琶湖博物館)
徳田 誠(佐賀大学農学部/鹿児島大学大学院連合農学研究科)


選考理由

応募者数は6名(大学系3名、研究所系1名、博物館系2名)であった。 選考にあたっては、これまでの選考方針を大きく変えることなく、「生物多様性の理解の源となる記載研究(生物多様性の可視化の源泉となる情報)により、生態学の基盤強化に寄与していること」を選考方針の基本とした。応募者全員の業績・研究活動は、本賞の趣旨・評価基準にすべて合致しており、いずれも受賞に足る水準を超えていることが確認されたが、応募者の1名の生態学会会員歴が3年に満たない点を考慮し、他の5名を候補者として優先して審査することとした。

大塚 泰介 氏
大塚氏は、琵琶湖博物館の学芸員として滋賀県を活動の中心におき、珪藻類の記載・分類などの自然史研究を通して地域および全国の陸水生物相理解に大きく貢献し、生態学の基盤強化に寄与してきた。その一方で、それらの研究成果を基に珪藻Web 図鑑を作成し、それを活用した講演会・観察会などの教育・普及イベントを頻繁に実施し、地域社会における生物多様性に対する理解を深める活動を精力的に展開してきた。また、大塚氏が中心となって作成された「⽥んぼの⽣きもの全種データベース」は、地域に根ざした自然史研究の成果を公開して水田生態系の生物多様性に関する市民の理解の向上に大きく貢献している。その他、自然史研究の成果を一般向けに普及させることを目指した多くの出版物の刊行を進めつつ、市民参加型の地域生物相調査を主催する活動にも中心的な役割を果たしてきた。以上のような大塚氏の活動は、「生物の記載、分布、生活史など、地域の生物多様性情報の収集と公開を通して、生態学の基盤強化に寄与」する活動の振興を目指す本賞の理念に合致する。よって、大塚氏を本賞受賞候補者として、ここに推薦する。

徳田 誠 氏
徳田氏は、タマバエ科を主な対象とする昆虫類の記載・分類・生物地理に関する数多くの研究成果や、植食性昆虫と植物の相互関係に関連する基本的な分布や生活史などの生態学的特性・適応形質の進化生態などの多彩な分野にわたり、多数の自然史に関する原著論文を発表してきた。また、伊豆諸島・トカラ列島・対馬などの島嶼における生物地理学的研究や、有明海沿岸地域の生物の分布・生活史・基本生態の研究を地域の市民研究者とともに精力的に進めてきた。さらに、研究成果に基づく自然史に関する知見を、各種の刊行物・イベントやマスメディアを通して市民向けに頻繁に発信するとともに、行政審議会を通して自治体による環境行政や農業害虫管理における生物多様性保護の必要性・重要性をはたらきかけてきた。以上のような自然史に関する研究と教育・普及活動への徳田氏の精力的な取り組みは、「生物の記載、分布、生活史など、地域の生物多様性情報の収集と公開を通して、生態学の基盤強化に寄与」する活動の振興を目指す本賞の理念に合致する。よって、徳田氏を本賞受賞候補者として、ここに推薦する。

自然史研究振興賞選考委員:塩尻かおり、渡辺勝敏、千葉聡、市岡孝朗

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