日本生態学会

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ABC会員制度の廃止について

*2012年3月20日総会にて以下の方針が決議されました。

日本生態学会会員のみなさま

 日本生態学会は、2003年以降ABCと3種類の会員資格があります。A・B会員は学会発表資格があるのに対し、保全生態学研究(以下、「保全誌」)のみを購読するC会員には大会での一般講演やシンポジウムの発表資格がありません。また、大会シンポジウム等でC会員が発表を依頼された際には、学会参加費自体が免除される特例が含まれる等、複雑で分かりにくい制度となっています(参考資料参照)。

 ABC会員制度発足の経緯を説明します。保全誌は保全生態学研究会の雑誌でしたが、編集体制の強化と一層の普及のため、2003年に発行主体を生態学会に移行しました。これに伴い、保全誌の購読者には生態学の会員になってもらう必要が生じました。そのため、保全生態学研究会と生態学会の両方の会員だった方をB会員、保全生態学研究会のみの会員だった方をC会員とし、C会員は従来の保全生態学研究会の会費で生態学会の正会員となることができ、保全誌の購読と保全誌編集委員会の参加の権利が引き続き確保されました。

 常任委員会では、現在の分かりにくいABC会員制度を廃止し、正会員を一本化することを検討し、B,C会員に対してアンケートを行いました。

 アンケート結果によれば、B会員(英文誌、生態誌、保全誌を購読する会員)約900名のうち60名から回答があり、C会員制度の廃止に反対する方はほとんどいませんでした。しかし、C会員の廃止に伴い保全誌の活性化を妨げることのないよう、配慮する必要があるという意見が複数ありました。他方、C会員約230名のうち21名から回答があり、そのうち旧保全生態学研究会会員は7名でした。この21名のうち、C会員制度を廃止した場合、正会員となるのは8名、退会して購読するのが4名、退会して購読もしないのが7名、不明2名という結果でした。ここから、以下の諸点が読み取れます。

 アンケート結果を分析すると、現在のC会員には保全誌の購読を希望される方と、発表資格がなくても本学会の会員であることを希望される方がいることがうかがわれます。しかし、その方々は、やはり本会会員の権利と義務を理解いただき、A会員と同じ会費を納めていただきたいと思います。この結果を踏まえて、以下を提案いたします。

  1. C会員を廃止し、一般正会員と学生会員について、年会費をそれぞれ11000円と8000円とする(従来のA会員の会費に同じ)。
  2. 正会員で保全誌の定期購読希望者は、上記に2000円を追加する(従来のB会員と同じ。英文誌と生態誌の紙媒体不要の会員への減免措置は従来通り)。
  3. 保全誌の定期購読のみを希望される方は、非会員の定期購読者とする。定期購読者は保全誌の投稿資格を維持する。年間購読費用は5000円とする(学生割引は設けない)。

この措置は会則改定を伴うため、実施するにあたっては来年以後の全国委員会の議を経て総会で決議する。

 よろしくご検討のほど、お願い申し上げます。

(補足)

  1. C会員制度は、旧保全生態学研究会会員を本学会に迎える際に不利益にならないように新設した制度であり、学会誌や発表の権利を持たない会員のために設けた制度ではありません。保全生態学研究会自体は保全誌移行後も活動を続けていましたが、2010年3月に解散しました。現行会費と同じ料金で保全誌の定期購読が可能ならば、旧保全生態学研究会会員の権利が維持されると考えます。
  2. C会員は非会員にも認められている自由集会の参加資格以外、一般講演や大会シンポジウム等での企画提案、発表資格がありません。そのため、シンポジウム企画者がC会員を招待して講演していただく場合、非会員と同じく大会参加費を免除することになっています。学会への帰属意識を維持するためにC会員になっていただいているとすれば、その大会で発表の機会を得ているのに大会参加費を免除されるという制度は、AB会員からみて不公平だと思います。
  3. 本学会の会費が高いという印象をもたれる方は多いかもしれません。しかし、決算を見ればお分かりのように、支出の大半はEcological Research誌(以下、ER誌)と日本生態学会誌を維持するための費用であり、大会を含めた学会活動を支える事務経費に充てられています。これらの発行部数を減らしても編集発行費用はあまり変わりません。両誌の紙媒体不要の方の会費減免は、不要となる郵送代程度しか安く設定できません。英文誌はすでに非会員でも投稿資格があり、電子媒体は多くの図書館等で見ることができます。したがって、紙媒体不要の方の会費を下げると、多くの方が紙媒体不要を選択し、学会の最重要使命の一つである学会誌の発行が維持できなくなると懸念されます。学会が学会誌の発行を通じた学術活動によって維持されていることを、ぜひご理解いただければ幸いです。
  4. 英文誌と生態誌については紙媒体なしの会員制度や既刊号のインターネット掲載などの制度がありますが、保全誌については会費を安く抑えているために、これが不可能です。C会員の会費は旧保全生態学研究会会員を本学会に迎える際に不利益にならないように設定したため、編集発行の実費が会費となっています。

付表)ABC会員制度廃止の案。※が変更される項目

会員の権利   正会員 (新)保全誌定期購読者 現在のC会員
配布 ER誌
  日本生態学会誌
  保全生態学研究 選択*
投稿 ER誌 非会員も含めて可能
  日本生態学会誌
  保全生態学研究
発表(除招待) 全セッション
  自由集会
総会・委員 選挙・被選挙権 無※
年会費 正会員 11,000円 5,000円 5,000円
  学生会員 8,000円 5,000円※ 2,500円
  (保全誌購入) +2,000円
  団体会員 20,000円

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