日本生態学会

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会長からのメッセージ -その7-

「宮地賞,大島賞,奨励賞(鈴木賞)」

 宮地賞,大島賞,奨励賞(鈴木賞)の公募が始まりました(締切は8月15日).いずれも自薦を歓迎していますから,ふるって応募ください.

 宮地賞は19回目を迎えるので,賞の性格などはだいぶ理解していただいていると思います.でも,大島賞と奨励賞(鈴木賞)ができたために違いがわかりづらい,「ハードルが高い」などの声をききます.いずれも日本生態学会が大切にしている賞なので,「ハードルが低い」わけではありませんが,賞の性格を良く理解していただければ,ご自身に相応しい賞が見つかると思います.これから,私なりに賞を性格付けてみますので,応募の参考にしてください.

 ちょっとこじつけかもしれませんが,宮地賞を日本文学の賞にたとえるならば,「芥川賞」だと思います.活発に研究成果を挙げている若手会員で,生態学のリーダーとして成長を期待できる方が選ばれていると思います.ホームページで歴代受賞者を確認するとまさに若手のバリバリが名を連ねていますし,初期の受賞者の方の活躍は期待通りですね.

 大島賞は,宮地賞とは違った観点で選考されています.受賞者には,もちろん,質の高い研究が求められますが,野外調査を中心に粘り強く研究を続けている方が対象です.歴代受賞者をみると,研究業績はいずれの方も素晴らしく,宮地賞として選ばれてもよいように思います.でも,選考時点での年齢が「若手」とはいいにくいレベルに達していたのではないでしょうか.野外調査を中心にした研究を論文としてまとめるには時間がかかるものです.このため,野外調査ベースの研究をしている会員は宮地賞の選考で不利になるでしょう.このような会員の業績は中堅と呼ばれる年齢に達したときに花開くだろうと思われます.ですから,そのような年齢の会員で,野外調査ベースの研究を粘り強く続けている方を表彰するために大島賞が設けられました.文学賞にたとえるなら直木賞でしょうか.

 少し無理があるかもしれませんが奨励賞(鈴木賞)は「群像新人文学賞」かもしれません.この賞の受賞者から多くの芥川賞作家が出ています.奨励賞(鈴木賞)は学位取得後4年程度までを対象とした宮地賞よりも若い世代のための賞です.学位取得前後の研究を評価し,独立した研究者へ成長していこうとする「新人」を応援します.奨励賞受賞者が宮地賞などを重ねて受賞することを期待しています.

 以上のように,年齢をもとに賞を単純に区分するなら,奨励賞(鈴木賞)=新人,宮地賞=若手,大島賞=中堅と整理できます.もっともこの年齢は絶対年齢ではなく相対的なものなので,それぞれの賞の対象年齢が決められているわけではありません.「自称若手」も結構だと思います.

 松田前会長が「メッセージ」で書いておられますが,「学会賞は、受賞者を出し続けることで性格が形作られてくるものだと思います」良い応募者がいなければ賞は成長しません.多くの方が応募されることを期待しています.

2014年6月24日 会長 齊藤 隆

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