日本生態学会

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会長からのメッセージ -その1-

「ご挨拶」

 東京大学の日浦勉です。2026年3月14日より北島薫前会長から引き継いで日本生態学会の会長に就任いたしました。

 生態学は今や理論、実験、フィールド観測などの手法だけでなく、基礎から保全などの応用まで目的も幅広くしかもそれらの境界がなくなりつつあります。社会からの要請もずいぶん大きくなってきたと感じます。私自身は主に森林生態系を対象とした長期観測や野外実験によって生態系のダイナミクスを明らかにする研究を行っていますが、生態学はもはや全貌を把握することも難しいくらいに広がりを持った学問となっています。そんな中でも変わらないのは生態学会の自由闊達な雰囲気です。私が生態学会大会に参加し始めたウン十年前の学生時代、とにかく他の人たちの発表や議論が刺激的で数日間があっという間に過ぎたことを覚えています。厳しいコメントに奮い立ったこともいまだに記憶しています。正直に告白すると、当時は学会運営の中枢部(今は理事会といいます)が何をしているのか特に関心はなく、大会期間中も総会に出席したこともなく「総会の日は開催地の自然や文化に親しむ日」というのが恒例でした。今でも学生さんはそれくらいでもいいのかもしれません。ただ、少しずつ学会運営に関わるようになり、先輩方の献身的な活動が生態学会のこの素晴らしい雰囲気を支えてきたのだ、ということを知って感動もしました。

 生態学会は会員数が4000人を超える日本の巨大学会の一つで、他の学会が軒並み会員数を減らしている中で、学生会員は増え続けており女性会員の割合も他と比べて随分高いようです。このことは何より会員が自由で闊達な議論や活動を行っている証査でしょう。このような生態学会の素晴らしさをさらに押し広げていくことが私の希望です。

 そのために会員の皆さんの率直な意見を頂き、それを可能な限り運営に取り入れていければと思いますが、一方で取り組んでいかねばならない課題があることも事実です。今後この会長メッセージではそのような話題を取り上げて、理事会や代議員会、各種委員会でどのような議論や取り組みを行っているかを少しずつ紹介し、皆さんからのフィードバックを期待したいと思います。

 まずは大会運営のことです。3月に京都で行われた73回大会は参加者が3272名で過去最大となり、大変賑やかでした。その一方、生態学会大会は会員による「手作り」の部分が大きく、これだけの規模になると考えるべきことがたくさん出てきます。

 現在は7つの地区会が毎年順番に担当していますが、これだけの人数や発表件数になってくると、それをこなせるだけの会場は地方都市では見つからない可能性もあります。また、コロナ禍以降ライブ配信やオンデマンドなど対面とオンラインでのハイブリッド開催を続けており、非常に複雑で大きなコストもかかっています(そのため今回はライブ配信を取りやめました)。大会運営は大会実行委員会(主に現地での運営)と大会企画委員会(主に事前準備)が中心になって担当してくださっていますが、大規模になるほど皆さんの負担が大きくなるのも事実です。そこでこのような課題にどう対応していくか、大会タスクフォース委員会を立ち上げて会員の皆さんや地区会執行部にアンケートをとり、スリム化やルーティン化の可能性も含めて模索し始めています。この過程を通して一定の方向性を今夏を目処に打ち出したいと考えていますので、会員の皆さんにはぜひアンケートに答えて頂き、建設的な意見も頂ければと思います。

 先日、学生やポスドクとクラフトビールを飲みながらそんな話をしたら「そんなにコストがかかっていたとは知らなかった」「オンラインももっとスリム化できるのではないか」「ダニ感染症に罹った話はインパクトがあったので、会長メッセージではなんでもいいから発信して欲しい」など率直な意見をもらいました。

 というわけで、もしかしたらこの場では学会活動と直接関係のない身の回りのことなども書いてしまうかも知れませんがご容赦ください。これから2年間よろしくお願いします。

2026年3月25日 会長 日浦 勉

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