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第24回 生態学琵琶湖賞の実施について

中野伸一(琵琶湖賞運営委員長)

 生態学琵琶湖賞は、水環境に関連する生態学およびその周辺分野における50歳未満の優れた研究者に贈られる賞で、今回が第24回になります。生態学琵琶湖賞は1991年に創設され、これまで43名の国内外の研究者が受賞しています。日本生態学会が主体となって募集選考する賞ですが、学会員でなくても、応募・受賞可能です。

 前回第23回は、京都大学大学院情報学研究科生物圏情報学講座の土居 秀幸博士が受賞しました。土居博士は、水域生態系における生物群集の構造や動態を多様な解析手法を用いて解明する研究で顕著な成果を挙げてきました。中でも、広域・長期間の群集動態を安定同位体比や環境DNAの情報を用いた解析によって明らかにしていく手法に、彼の特徴があります。時空間的に大規模なデータを用いたメタ解析や因果推論、数値シミュレーションなど、情報学的手法を取り入れた解析の切り口は、生物群集の動態、食物網の構造、生態系機能と生態系サービス、生物群集の気候変動への応答、遺伝的多様性など多岐にわたり、水域生態系の構造と生物群集の動態を俯瞰的に解明しようとする努力は特筆に値します。近年は、環境DNAを用いた調査手法の開発を積極的に進め、水域生態系の網羅的な生物群集解析、遺伝的多様性の新たな調査手法の開発と社会実装に向けた普及に尽力しています。加えて、解析型AIの技術を生態系の構造や動態の解析に応用したり、モデリングの技術を発展させることによる生態系のデジタルツインの実現を目指すことにも意欲的で、新しい生態学の展開を牽引することが期待されます。

 このように、これまでの受賞者は、水圏を対象にした国際的に高い水準の研究はもちろん、その成果をつうじて生態学のみならず学術や社会一般にも広く波及効果を及ぼしています。これらのことが示すように、生態学琵琶湖賞は水環境に関わる科学のすそ野を広げ、今後も広く社会に貢献すると期待される優れた研究者を後押しする学術賞です。

 審査は水圏科学の専門家だけでなく生物学や環境科学の分野で活躍されてきた選考委員により行われるため、特定の分野に評価が偏ることはありません。受賞者には、2027年7月の琵琶湖の日の前後に開催される授賞式で滋賀県知事より表彰されるとともに、受賞記念講演を行っていただきます。さらに、日本生態学会が刊行する学術雑誌に総説もしくは報文を執筆していただくこともお願いしています。

 皆様方におかれましては、ご自身の業績をアピールしていただき、奮って、生態学琵琶湖賞に応募していただきたく思います。

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